髪、傷んでる? キューティクルがダメージを受ける原因と対処法
私たちの髪は、毎日さまざまなストレス(刺激)にさらされてダメージを受けます。
でも髪がダメージを受ける直接の原因について、私たちはあまり詳しく理解していません。
そこで、髪にダメージを与える原因とはいったい何なのか、そしてどうすればダメージを軽減できるのかについてお話ししたいと思います。
キューティクルの下にも‥‥髪は3層構造でできている
髪のダメージについて理解するためには、髪のおおまかな構造を知っておく必要があります。
私たちの髪は、
- 表層 = 「キューティクル」という魚のウロコのような形状の薄い層
- 中間層 = 「コルテックス」というしなやかなタンパク質
- 深層 = 「メデュラ」という髪の毛の芯
という3層構造になっています。
髪を樹木に例えるなら、キューティクルは樹皮のようなものです。キューティクルは角質化したタンパク質でできており、非常に硬くて、外界の刺激から髪を守る働きをしています。
キューティクルは硬く曲げ伸ばしができないため、ひだ状に重なりあって、髪が曲がるときには重なったキューティクル同士がこすれることになります。
中間層のコルテックスは髪の毛の成分の90%を占める組織です。コルテックスは繊維を束ね合わせたロープのような構造をしているため、引っ張りに対して非常な強さを発揮します。
コルテックスの多さによって髪の太さが変わり、コルテックスが含む脂質や水分の量によって髪のしなやかさやハリが変わってきます。
また、日本をはじめアジア人のコルテックスにはメラニン色素が多く含まれているため、日本人の髪は黒に近い濃い色をしています。
髪の中心部にはメデュラという組織があり、小さな泡や水分を含む柔らかいタンパク質でできています。極端に髪の細い人や軟毛の人にはメデュラがみられない場合もあります。
こうした髪の構造を知っておくことで、髪がどのようなときにダメージを受けるのかがわかりやすくなると思います。
一般的に、髪が受けるダメージは主にキューティクルとコルテックスの傷みによって発生しますから、ここではキューティクルとコルテックスについて説明していきましょう。
キューティクルがダメージを受けるときって?
キューティクルは建物の外壁のように、外界からの刺激に対するバリアの働きをします。
キューティクルは角質化したタンパク質(爪と同じようなもの)ですから、非常に硬くて丈夫です。しかし、1枚1枚のキューティクルは厚さわずか0.5~1μm(0.0005~0.001mm)と非常に薄いため、しっかり重なりあっていないと強さを発揮できません。
では、キューティクルがダメージを受けるのはどんなときでしょうか?
もっとも大きな原因は「摩擦」です。
キューティクルは化学薬品などには強く、変質しにくい成分です。しかし非常に薄いために、物理的な摩擦によって、はがれたりすり減ったりしやすいのです。
無理なブラッシングや念入り過ぎるブラッシング、そして髪を傷つける形状や素材の毛を使ったブラシの使用などがキューティクルにダメージを与えます。
そして髪を強くピンやゴムなどで束ねることも摩擦を生む原因になり、髪にダメージを与えてしまうのです。
また、キューティクルは髪が湿っているとひだが開く性質があるため、髪をよく乾かさない状態で寝ると、枕との摩擦でキューティクルは激しく傷みます。
さらに、熱もキューティクルの大敵。いくら硬いとはいえタンパク質なので、熱すぎるドライヤーの風にさらされると変質してもろくなってしまいます。できるだけタオルドライで水分を取り、ドライヤーは短時間で仕上げるのがコツでしょう。
なお、長時間紫外線を浴びることもキューティクルにとってはNG。夏場だけでなく、紫外線量の多くなる5~9月頃までは日傘や帽子などで直射日光をできるだけカットしたいものです。
キューティクルがダメージを受けるとどうなるの?
「髪の主な組織はコルテックス。キューティクルは表皮のようなもの。じゃあ、キューティクルが傷むだけならたいしたことないのでは?」
そう思う人もいるかもしれません。
しかし、さっきもお伝えしたように、キューティクルは建物の外壁のようなものです。丈夫な外壁が無くなったむき出しの建物は、たちまち傷んでしまいます。髪もそれと同じことなのです。
キューティクルがはがれると柔らかいコルテックスがむき出しになってしまい、外からの刺激(ダメージ)を直接受けて、ハリやコシ、そして引っ張る力に対する強さを失ってしまいます。そして、これが切れ毛・枝毛の原因になるのです。
またキューティクルは髪の内部の脂質や水分を保つ役割も果たしていますから、キューティクルが失われると髪がバサバサになってしまいます。
キューティクル自体はとても透明度の高い艶やかな物質ですから、それが失われるということは、髪の艶や輝きも失われてしまいます。
コルテックスがダメージを受けるときとは?
コルテックスはキューティクルのような硬さや化学薬品への強さを持ちません。
逆に化学薬品に反応する性質を持っているため、コルテックスにヘアカラーやパーマの薬液が染み込み、思ったとおりの効果を発揮することができるのです。
「カラーリングやパーマをかけ過ぎると髪が傷む」ということはよく知られていますし、経験的にご存じの方も多いと思います。これはコルテックスのタンパク質が変質してしまうことや、コルテックスから水分が逃げて細胞のすき間がスカスカになってしまうことが原因です。
どうすればダメージを軽減できるの?
このように髪の構造とダメージの原因を理解することで、髪のダメージを軽減する方法もみえてきます。簡単に整理しておきましょう。
1. キューティクルは壊れ物。物理的な刺激を与えない。
キューティクルは髪の毛のウロコですから、物理的な刺激を与えないようにすることが大切です。
ブラッシングは良質なブラシを使ってやさしくていねいに。直射日光やドライヤーの熱風に髪の毛を長時間あてないことも大切です。
キューティクルさえしっかりしていれば、コルテックスのダメージは大幅に軽減できます。美髪づくりはまずキューティクルを守ることから始めましょう。
2. 髪の毛はタンパク質。タンパク質を変質させないようにする。
キューティクルがしっかりしていても、髪の毛の主たる組織であるコルテックスがダメージを受けては何にもなりません。特に化学薬品から髪を守ること、髪のなかから水分や脂質が失われないようにすることを意識しましょう。
さらにヘアカラーやパーマなどの回数を制限すること。そして刺激の強い化学成分を含むシャンプーやヘアケア用品を使用しないことが特に大切です。
このような髪にダメージを与える原因に注意して、やさしく髪をいたわってあげましょう。
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